
書店に行くと、誰の目にも入るような場所に「芥川賞受賞!!」「直木賞受賞!!」「ベストセラー!!」などといった本が積んであることでしょう。
このような本を見ると……

私にも読めるはずだわ!!
などと思って、つい手を伸ばしたくなります。
しかし、この「〇〇大賞」系の本に手を伸ばすことは、読書が苦手な初心者にとって危険な判断になるかもしれないのです。
【〇〇大賞は慎重に……】
「〇〇大賞受賞」の作品を初心者におすすめしない理由は、この「〇〇大賞」を選考している審査員が文学においてのプロ中のプロで、「超読書家」だからです。
プロの目から見た「おもしろい」と読書が苦手な人から見た「おもしろい」には大きな差があります。
どの賞も「大賞」を獲っているということは、超読書家たちに認められたすばらしい作品であることは間違い無いのですが、初心者が「〇〇大賞」系の本を読んで、途中で挫折すると……

本も読めないのね……
このように自信をなくしてしまうのです。
映画のアカデミー賞なども同じことが言えるでしょう。
近年では社会問題をテーマとする作品が受賞をしている傾向にあるようです。
しかし、唯一「〇〇大賞」系でおすすめできるものがあります。それは……
「本屋大賞」という賞です。

書店で働く店員さんたちの
投票によって選ばれる賞。
書店員さんの中には読書家もいるでしょうが、「〇〇大賞」の中では、1番お客さんに近い存在の人が選ぶのです。
2004年からはじまった賞なので、歴史が浅いのですが、初心者でも読みやすい本が多いことが特徴です。
毎年1位〜10位まで発表されるので、10冊の中から自分に合った本を選ぶことができます。
(私が読書家になるきっかけをつくってくれた本も、本屋大賞受賞作でした……)
【ベストセラーにも注意しよう!!】

わかったけど、ベストセラー
ならいいんじゃないの?
多くの人に読まれている本がベストセラーです。
しかし、何軒も書店を回ると気がつくことがあるでしょう……

ベストセラーの場所に
並んでる本が違うぞ?
書店の立地条件もあるかもしれませんが、ベストセラーは書店によって違うのです。
これも先ほどの「〇〇大賞」系の本と同じように挫折したときに……

僕は読めなかった……
と感じてしまうと「違う本にチャレンジしよう!!」 と思う前に本を読むことが辛くなります。
書店がベストセラーのコーナーに並べている本は、読書が苦手な初心者のために作られているコーナーではありません。
もちろん「〇〇大賞」系や、ベストセラー本の中に、あなたの運命の1冊がある可能性はありますが「〇〇大賞を獲っているから読む」「ベストセラーだから読む」というのは、あなたが身につけるべき知識と一致しているのか? と立ち止まって考えましょう。
読書は「手段」であって「目的」ではありません!!
(これは何度も言います……)
お掃除ロボットを買っても、あなたの家が1ルームで家具だらけの家だった場合、お掃除ロボットは活躍してくれません。
本も、あなたにとって役に立つものでなければお金と時間を無駄にしてしまうでしょう。
【人におすすめされた本は?】
人におすすめされた本というのも注意が必要です。
決して「おすすめされたら全部断れ!」ということではありません。
あなたが「本を読みたい」「読書をはじめた」ということを友人や知人が知ると、読書家たちは「これを読んだ方がいいよ」「これおもしろいよ」と本をおすすめされる機会が増えるでしょう。
しかし、覚えておきましょう。どんなに仲が良い友人であれ……
他人が面白いと感じる本が、あなたにとって面白いと感じるとは限らないのです。
仲の良い友人、またはカップルで映画を観に行っても「最高の映画だったね」とお互いが思うとは限らないですよね?
人から本を借りる失敗例はいくつかあります


感想を言わないと……

違う本を読めない……
などなど……仲が良いからこそ気を使わないといけないことも発生します。
貸す側は、相手のためを思っておすすめしてくれているので罪はありません。それがあなたを苦しめるのです。
おすすめされた本で借りても良いパターンが2つあります。
1 前から気になっていた本だった場合。
2 相手が自分の性格の良き理解者である場合。
1は、自分が「読みたい」と思う気持ちがある状態でスタートしていることなので、例え読めなくても、責任は相手ではなく自分に向きます。
2は、相手がおすすめしてくれる理由を聞くことが大切です。

この本を読んでみると
いいかもよ?
このようにおすすめしてくれる人は滅多にいませんが、あなたが悩んでいることを知って貸してくれようとしている人は、優秀な読書家であると言えます。こんな時は「全部読めるかわからないけど読んでみるね」と言って借りても大丈夫でしょう。
しかし……

絶対あんた好きだよ!!
この手のおすすめは丁重にお断りしましょう。「今、読んでいる本があるんだ」「書店でチェックしてみるね」など、やんわりと回避してください。
このパターンは相手の「この本の共感者がほしい」という気持ちがあなたの「本を読みたい」気持ちを上回っているので、返すときに「どうだった!? 面白かったでしょ!?」という質問を高確率でされます。
おすすめされた本を借りるときは、相手がどんな理由でおすすめしてくれているのか? をしっかりと見極めましょう。
【まとめ】

・ ベストセラーは書店によって違う。
・ おすすめされた本は、理由を見極める。
「〇〇大賞」「ベストセラー」「おすすめされた本」の全てがダメというわけではありません。
この3つは読書が苦手な人が、最初に失敗しやすい事例です。
自分が読みたい本が、たまたま「直木賞を受賞した作品だった」「ベストセラーの本だった」「友人が勧めてくれた本だった」という場合は読んでみる価値があります。
あなたの意志で選んだ本であれば例え読めなくても、誰も傷つく人はいないのです。