【解説】『学校の「当たり前」をやめた。』工藤勇一 著

2020年2月27日更新!!

年間読書冊数212冊のCO-2N(しおつん)が本を解説します!!

CO-2N イラスト

今日の1冊は……

『学校の「当たり前」をやめた』(時事通信社)
著者 工藤勇一

 

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こんな人にオススメ

・ 学校教育に疑問を感じている

・ 教育の新しい姿を知りたい

・ 指導者に必要な力を知りたい

 

タイトル画像

【著者プロフィール】

工藤勇一(くどう ゆういち)
1960年 山形県生まれ
千代田区立麹町中学校長
[経歴]
・ 東京理科大学理学部応用数学科卒
・ 山形県公立中学校教員
・ 東京都公立中学校教員
・ 東京都教育委員会
・ 目黒区教育委員会
・ 2014年から千代田区立麹町中学校長

【『学校の「当たり前」をやめた』 結論】

学校教育の常識を見直し、学校へ行く「目的」を改めて考えよう!!

学校で「常識」だと思われていることを考え直してみると、見直すべき問題がたくさんあることがわかります。
そもそも、なぜ学校に行くのでしょう? 「勉強をするため?」「集団行動を学ぶため?」「協調性を学ぶため?」答えは1つではありません。

著者の工藤さんは「宿題なし」「中間・期末試験を廃止」「クラス担任も廃止」という学校の常識を覆すような取り組みをされました。なぜそのようなことをしたのでしょう? その結果、生徒たちはどのような姿になるのか?

教育する立場の人は、何も「先生」と呼ばれる人だけではありませんよね。先輩から後輩へ指導することも「教育」に当てはまります。

つまり多くの人が、他人を指導する立場(先生)になる機会があります。この本は、学校教育だけでなく、人を指導する機会がある人には有益な本なのです。

 

【テストの目的を見失わない】

 

テスト 画像

 そもそも学力を「ある時点」で切り取って評価することに、意味があるでしょうか。たとえ中間考査が行われる5月下旬時点で解けなかったとしても、7月下旬までに完璧に習得していれば、通知表に「5」をつけてよいのです。学習に「早い」「遅い」は関係ありません。
 テストを実施する目的は何でしょうか。「学力の定着を図る」ためのものでなくてはなりません。ここにも、「目的と手段」のねじれが見られます。

『学校の「当たり前」をやめた』(時事通信社) 工藤勇一

 

あなたは学校のテストで勉強したことを、今でも覚えていますか? 私はほとんど覚えていません……勉強したことを覚えていなくて、今の日常に活かせていないのだとしたら、「学力の定着」はしていないことになります。

これでは、社会に出てから役に立つ勉強をしているのではなく、「テストで良い点をとるために勉強をしている」ということになってしまいます。

学力が向上するペースは人によって違います。誰もが50メートル走を6秒代で走れることがないように、学力にも差があって当然なのですが「ちゃんと勉強しなさい!!」「努力が足りない!!」と指導しても、全員が同じように勉強できるとは限りません。

工藤さんの勤める麹町中学校では「中間・期末テスト」の代わりに、違う形式のテストが行われているのです。

 

そのテスト内容とは? 誰もが納得する麹町中学校のテスト内容は……

ぜひあなたの目で『学校の「当たり前」をやめた。』を読んで確認してみましょう。

 

【「不登校」に苦しむ人へ】

 

悩む子ども 画像

 今、不登校に苦しんでいる子どもたちや、その保護者の方々の中には、誰かを恨んでいる人がいるかもしれません。その多くは一方で、自分自身を強く責め続けてもいます。私はそうした人たちに「とにかくもう自分を責めないでほしい」「あなたは何も変わらなくていい」と伝えたいと思います。

『学校の「当たり前」をやめた』(時事通信社) 工藤勇一

 

工藤さんは、不登校になっている生徒に対して「学校に来なくたって大丈夫だよ」と声をかけるそうです。
実は私自身も中学生の頃に不登校を経験しています。その当時の担任の先生から同じ言葉をかけてもらいました。

この「学校に来なくたって大丈夫」という言葉は、私の心を一気に軽くしてくれたことを今でも覚えています。

「学校とは絶対に行かなくてはいけないもの」「学校に行くことが普通」なんてルールは存在しません。

私は不登校を経験しましたが、今では「良い体験だった」と言うことができますし、不登校だった期間があったからこそ、今の自分がいるのだと思っています。長い人生の中で学校に通う期間は一瞬だけです。

工藤さんの言うように、自分を責める必要はありません!! 不登校という体験ができるのは限られた人だけです。特別な体験をして人間として成長するための1つのステップなのです。

世間が作り出した「学校に行くことが普通」というルールに縛られて、辛い思いをしなくていいのです……

 

【書籍紹介】

 

評価
読みやすさ
こんな人にオススメ

・ 学校教育に疑問を感じている

・ 教育の新しい姿を知りたい

・ 指導者に必要な力を知りたい

 

【まとめ】

・ テストの目的を見直そう

・ 不登校で自分を責めない

・ 『学校の「当たり前」をやめた。』を読もう!!

CO-2N イラスト

前回の『神メンタル』に引き続き、『学校の「当たり前」をやめた。』も、私が読んだ212冊の中でTOP3に入る本でした。

あなたの学校にも「よくわからない校則」や「学校独自のルール」などはありませんでしたか? 思い返してみると学校とは「ルール」に縛られた環境です。

しかし「そのルールがなぜできたのか?」「そのルールがなぜ必要なのか?」という疑問が生まれてきます。目的のないルールは排除していくべきです。

 

あなたが子どもに教育する立場の人間だとしたら……

 

なんで勉強をする必要があるの?

なんで大人は、お酒もタバコも良いのに子どもはダメなの?

なんで学生は髪を染めたらいけないのに、大人は染めて良いの?

 

この答えを、子どもたちが納得できるように答えてあげることができますか?

「今時の若いモノは……」なんて言っていて、社会が良くなったことなんて一度もありません。必要なことは、若いモノに文句を言うことではなく、大人が変わっていくことです。

教育する立場にある人は『学校の「当たり前」をやめた。』は必読の本だと、私は感じているのです。

 

本と共にあれ ■

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